敵は海賊・海賊版


対宇宙海賊課(通称海賊課)の刑事ラテルとアプロのコンビが登場する、シリーズ第一作です。
これは文庫にすると84頁の短編です。
SFマガジン56年4月号に掲載、短編集「狐と踊れ」に収録されています。

イメージ 1


ある少女の叔父の行方を探すという依頼を受けて、火星が改造される前からの都市の形態を保っている「遺跡的」都市を舞台に調査をします。
コンピュータ犯罪とSF的アイディアのトリック(?)殺人。犯人はコンピュータなのか?ミステリー・タッチの作品です。
宇宙海賊像と対海賊課像、コンピュータや宇宙船などのテクノロジー、シリーズ全体の基本的な雰囲気が描かれています。
「敵は海賊」はシリーズものですが、一つひとつの作品は独立しているので続けて読む必要はありません。
が、やはりこの短編は必読でしょうね。
なぜなら、面白いからです~。


イメージ 2


「宇宙海賊課、出動!黒ネコ型宇宙人刑事アプロは相棒のラテルとともに宇宙海賊を追い、コピー世界へ!?」
初版についていた、帯のコピーです。(内容とちょっと違うゾ…)

早川書房 ハヤカワ文庫JA JA-178 
昭和58年9月20日印刷 昭和58年9月30日発行
定価440円

フィラール星の女官長シャルファフィンが、行方不明の王女探索を匋冥に願い出るために、火星の赤い砂漠の中の町、サベージにあるバー「軍神」を尋ねるところから物語が始まります。
太陽圏最大最強の宇宙海賊、匋冥(ヨウメイ)・シャローム・ツザッキィが登場する、長編シリーズ第1作目です。
王女失踪の裏には、人間の力を越えた神々(?)の闘争が絡んでいるらしく、不思議な力に導かれてパラレル・ワールドにシャルファフィンと、匋冥たちは導かれます。
もう一方の神は、匋冥に対抗し、宇宙の均衡を保つために、海賊課の刑事ラテルのチームを、パラレルワールドに呼び込みます。
その世界にも、匋冥や、アプロ・ラテルコンビが存在していました。
ドッペルゲンガー、善と悪の抗争、死神や精霊など、ファンタジーの要素を用いながらも、ハードなスペースオペラが展開します。
そして、お定まりの「どたばた」と「大乱戦」。
ここのテンポの良さと、構成がしっかりしているので矛盾がないストーリーが、神林ワールドの真骨頂ですね。
やっぱり、何度読んでもストーリーが全部わかっていても、面白いです。
これからも続けて、シリーズを読みかえしていこうと思います。