「小さな村の小さなダンサー」を観てきました

小さな村の小さなダンサー


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監督:ブルース・ベレスフォード
脚本:ジャン・サーディ
出演:ツァオ・チー
   ブルース・グリーンウッド
   アマンダ・シュル
   カイル・マクラクラン
   ジョアン・チェン

製作:2009年オーストラリア
配給:ヘキサゴン・ピクチャーズ
上映時間:117分

 物語

 毛沢東文化大革命のさなかの1972年、中国の小さな村。
 貧しいけれども、両親の愛を受けて幸せに暮らしていた11歳のリー少年は、毛沢東文化政策による英才教育で、突然北京舞踏学校の研修生に選ばれます。
 厳しいだけのバレエレッスンに興味が持てず、ホームシックにかかり辛い毎日を送っていました。

 15歳になったリー少年は、心からバレエを愛する先生の教えをうけて以来、率先して練習に明け暮れます。
 尊敬する先生が、江青共産党推進の芸術政策バレエに苦言を与えただけで、投獄されてしまいます。
 学校を追われる直前に、先生は秘蔵のテープをリー青年に渡します。
 それはソ連からアメリカに亡命したミハエル・バリニシコフの映像でした。
 初めて本物のバレエの美しさに感動し、直向きに努力を重ねます。

 毛沢東の死去、江青の失脚・逮捕、文化大革命終結、鄧小平の開放政策と、時代は大きなうねりを迎えます。
 リー青年の努力が、アメリカ研修へ道を開きます。 

 文化大革命の激しい時代に育ったリーにとっては、はじめてのアメリカ留学は、驚きの毎日でした。
 大統領を批判することもでき、自分の主張を話せ、自分の意思で人生が選択できる自由な世界が広がっていること…。
 バレエ研修期間が終了する時、彼は、中国政府の命令を退け、アメリカに滞在し踊り続ける生活を選択します。
 政治亡命…同時にそれは、愛する両親、故郷への永遠の決別を意味していました。

 そして…

 世界20カ国以上でベストセラーとなり、数々の国際的な賞に輝いたリー・ツンシンの自伝を、ブルース・ベレスフォード監督、ジャン・サーディ脚本で、見事に映像化しています。
 さすが、オスカー作品賞を含む4部門を受賞した『ドライビングMissデイジー』のスタッフが結集だけはあります。傑作でした。

 幼少時代のリーには1万人のオーディションで選ばれた体育学校出身のホアン・ウェンビン。
 北京舞踏学校時代は現在オーストラリア・バレエ・カンパニーのメンバーであるグオ・チャンウが「紅色娘子軍」を舞い好演。
 そして、渡米してからのリー役は、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の花形プリンシパルであるツァオ・チー。

 本作の振付けグレアム・マーフィーによる「白鳥の湖」や「春の祭典」など、情熱的で色彩豊かなバレエシーンの美しさは、まさに本物のバレエの美しさでした。

 私はこの映画のことは全然知らなくて、ウサギ奥さん(バレエが大好き)の希望で観に行きました。
 中国の少年が、苦労と努力を重ねて世界一流のダンサーに成長する「スポ根」物?位のつもりで観に行ったのですが、おっとどっこい、素晴らしい映画でした。
 
 ラスト近く、ちょっと感動して泣いちゃいました。
 今年一番の映画、かも知れません。