「ウルトラQ-dark fantasy」・第25話『闇』
実相寺昭雄監督、平成テレビ作品を鑑賞する(その5)
ウルトラQ-dark fantasy 13case
前作「ウルトラQ」で実相寺監督は、『キリがない』と『バクたる』の2本の脚本を書きました。 残念ながら、その2本は没となり映像化はされませんでした。 そして、24年後の1990年に、映画「ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説」で、実相寺監督はメガホンをとりました。 「ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説」は、浦島太郎伝説を基に、ワダツジンという太古の昔に地球へやってきた異星人や、古代神獣 薙羅(ナギラ) などが出てくる映画でした。 脚本は、実相寺監督と数多くウルトラシリーズを手掛けた佐々木守、怪獣デザインが池谷仙克と、オールドファンには懐かしい感じの映画でした。 そして、さらに14年の歳月を経て、TVの「ウルトラQ」を撮ったのです。 今日は、その2本のうちのひとつ。第25話『闇』(2004年9月21日放送)です。
虚人里離れた廃墟で、中継準備に追われるTVクルー。 プロデューサー仙童(橋爪淳)率いる、ニュース番組のコーナー「廃墟探訪」の撮影班である。 しかしその日はいつにも増して、不気味な雰囲気。 それもそのはず、その廃墟はある彫刻家の元アトリエで、しかも三角関係のもつれから、関係者全員が亡くなった惨劇の舞台だった。 鬼才として知られる仙童には、何か別の意図があるようだ。 やがてスタッフの事故を皮切りに、現場では機材の故障など次々に怪奇現象が起きる。 静観を決め込む仙童に、不信感を募らせる酒井(嶋田久作)ら技術スタッフ。そしてTKの年恵(渡辺梓)。 一触即発の緊張感をはらみつつ、前代未聞の恐怖中継が今、始まろうとしている! 実相寺監督が、かって籍を置いていたテレビ界を舞台にした作品です。 幽霊の集合体のような〝異なもの〟が、廃墟中継に訪れた取材クルーを振り回します。 テレビドラマと言う虚構の中で、リアルな中継現場と言う舞台があり、そこに展開されるアンバランスな映像世界。 スタッフの一人に憑依して、ポルターガイスト現象を起こし、最後は自分たちの領域を汚したTVのディレクターを…。 「ウルトラQ」というより「恐怖劇場アンバランス」…ですね。 幽霊の象徴となる顔のオブジェや絵画などは、第24話『ヒトガタ』に引き続き山本じんさんが担当し、シュールな世界を作り上げます。 実相寺一家の「長男」とされる、愛用のアライグマのぬいぐるみ“ちな坊”も出演していました~ さて、次回は「ウルトラマンマックス」です。